隣の部屋にフランス人


*

「リリー」

「もー、だからノックしてってば」

ある金曜日の夜、
私は自分の部屋のベッドの上で、漫画を読んでいた。

「俺彼氏だからいいんだ」

いいんだ、じゃないよ。

「そういう問題じゃないのー」

王子は何の断りもなく、
私の横に腰を下ろすと、
横になって漫画を読む私を見下ろした。

「何ー?」

「何も」

「何か用があったんじゃないの?」

「無くてもいいんだ」

いいんかい。

「ねー、そんなにじっと見つめられたら、
漫画に集中できないんだけど」

「いつもリリーを見たいから」

は!!何でそんな恥ずかしいこと言うのー?!

「な、なに…」

王子は私の手から漫画を取り上げると
そのまま私の上に覆いかぶさってきて…

「ちょっ…」

そのままキスをしてきた。