隣の部屋にフランス人


「チャラいってこと?え、どこが?」

王子はムスッとして私を見下ろした。

「雰囲気」

いや、そんな雰囲気は感じないけどな。
それをいうなら、王子の方がチャラい雰囲気漂ってるよ。

「リリーは可愛いから、気を付けて」

「は、はあ…」

気を付けなくても、誰も私になんて興味ないと思うけど。

こんな不細工モンスター!



「あら、男前ねー。ハロー」

レジで並んでいると、前に立っていたおばさんが
王子にそう声をかけた。

いや…今は声かけない方がいいよ、おばちゃん。
王子、機嫌悪いんだか…


「俺アメリカ人じゃねえ。
英語できねーわ」

目が点になるおばちゃん。
目を細めて私を見下ろす王子。

え、何で私??

ってか、何この緊迫した空気は!

私はおばさんに申し訳ない感じで会釈して、
王子の服の裾を引っ張った。

「も…機嫌直して」

「ごめん…」

なんとなくわかってきた。
王子って結構やきもち焼きなんだ。