「俺は…いいんだよ。もうオッサンだし…」

「さっき彼女に振られたっていう生徒が、高橋先生が好きだから振られたって言ってましたよ?数学準備室に出入りしている女子生徒の中に、その生徒もいるんじゃないんですか?」

あ…また、私はー…


「…妹尾」


余分なことをー…



「妹尾、俺はー…」


高橋先生が近付いてくる。


けど、今の私はまた余計なことを言ってしまう気がする。




「すいません…次の授業の準備があるので、職員室に戻ります」

そう言うと、逃げるように高橋先生の横を通り過ぎ、準備室から出た。



「…どうしよう」

速足で廊下を歩く。


こんな風に、先生に反論なんか一度もしたことなかったのにー…



先生は教師としての立場で言ってくれたのに、私はきっと私情も挟んだことを言ってしまったと思う。



教師として、ダメだー…