麻友と何とか連絡を取り合い、今ドーナツ屋さんに来ている。

危うく二度寝するとこだったみたい。
お昼1時を上回ったのにも関わらず、ご飯ではなく甘いドーナツ。

ドーナツ屋さんでも、もちろん軽く食べられるメニューもあるんだけどね。


「麻友、本当にごめんね
映画の件だけど今度埋め合わせさせて?」


「もういいよぉ」

チョコリングを頬張った麻友が、口をもぐもぐさせながらにっこり微笑んでいる。


この方が私の友達である豊梨麻友(トヨナシ マユ)

小さい頃から水泳を習っているため、髪が人よりはるかに茶色いが、これもプールの塩素の影響。

一本に束ねられた、左右に揺れるセミロングの髪に、落ち着いた瞳。
麻友はふんわりとした性格で、何より優しさで溢れている。


「それよりさぁ、本当に彼氏作らないの?」


「うん、まあね」


「そうなんだ」


麻友には今好きな人がいるらしく、一緒に彼氏を作って幸せになりたいとのこと。

その人は一個上の水泳部の先輩で、泳ぐ姿に一目惚れしたとか。
何よりクロールが上手くて、たまにその人の話が話題に挙がる。


「別に作りたくない訳じゃないけど、今はちょっと」


「そっか。
それにあまり焦ってもあれだよね」


麻友は結構自分から行動に移すのが苦手らしく、たまにシュミレーションしたりする。

好きな人に話しかけるタイミングとか、色々。
恋する乙女は大変なのです。
そのおかげで順風満帆だけど。