「……っ!」 そして気がつけば。 無意識にわたしは、八乙女の腕を強く掴んでいた。 ……変ね。 こんなのわたしらしくない。 まるで、誰かに取られてしまような気がして嫌だったなんて。 だって、八乙女はわたしの執事でしょ? 「穏花…お嬢様」 「何をモタモタしてんのよ! さ、さっさと振り払いなさいよね……」 「申し訳ございません……。 私の不注意でした」 目を大きく見開かせ驚くような表情を、一瞬だけした八乙女。 わたしだって一番、驚いてるわよ……。