「はい、到着」




器用に片手でドアを開けると、助手席に乗せられる。



車内のなかは、八乙女の香りに包まれてドキドキだ……。




「ねぇ、そう言えば! お迎えは?
 抜け出して大丈夫なの?」


「あぁ、ちゃんと借りるって伝えてあるから平気」




借りるって人の事モノ扱いして!



わたしはレンタルじゃないんだからっ。




「もう……少しは人目気をつけてよね!
 こっちが恥ずかしいんだから」


「今は執事とお嬢様じゃないから我慢しないし、もう容赦なんてしてやんない」


「~~っ!?」


「だから覚悟しとけ、俺だけのお姫様」




そう耳元で甘く囁かれた。



どうやら八乙女に振り回される日々は、まだまだ終わらなさそうです──!?





**end**