「え~っ!? 望ちゃんの恋バナなんて初見!!」


「た、ただバイオリンが一緒なだけで」




そっか……望ちゃんも誰かにあげる予定なんだ。



なんだか、わたしだけ置いてかれているみたい。



そんな気がして心がざわつく。




「私、職員室に用事があるから今日はここで」


「あ、うん! バイバイっ」




望ちゃんと別れて、エレベーターに乗り込む。



──卒業したら婚約か。



神代さんはあぁ言ってくれたけれど……。



事情を知らないお父様は当然、神代さんのことを一人の婿として立候補している。



このままわたし……。



八乙女じゃない誰かと本当に結婚しちゃうのかな。



子供っぽいわたしに奥さんなんて務まる?



ううん……今はまだ何も考えられないや。