「婚約の話。 気にしないでね」
「へ……」
穏やかな時間から、いきなり気まずい話題が飛び込む。
「張り切ってる父さんが先走りしてるけど、穏花さんは気にしないで欲しい。 俺が後は適当に言っとくから」
「神代さん……。」
「幸せにしてあげられるのは、これくらいしか出来ないから……どうか受け取って欲しい。 最後の俺からの愛を」
ミルクティーをギュッと握りしめる。
どうして、そこまでして……。
結ばれない相手の幸せを願えられるの?
神代さんは──。
「……どうしてこんなにも優しくしてくれるんですか?」
神代さんなら。
わたしよりもずっと、素敵なパートナーさんが見つかるはずなのに。
どうして、こんなズルいわたしを選ぶのか。
考えても考えても、理由が見つからないんだ。



