お父様に心苦しくなりながらも、勢いよくリビングを出て廊下を走る。 向かうのは八乙女の部屋だ。 走ってる途中、危うく東条とぶつかりそうになった。 けど、雰囲気で察したのか何も聞いてはこなかった。 さすがベテラン執事。 優秀で助かるわ。 「八乙女……入るわよ」 扉の向こうに居ないと分かっていても。 返事を期待してしまう。 扉を開けても当然。 そこに八乙女の姿はない。 ただ殺風景の部屋だけが虚しく広がるだけ。