八乙女ならもっと背中が丸いもの。 ──って。 呑気に立ち止まりながら、思い出してる場合じゃなかった! また車に向かって駆けて行く。 「久東! 八乙女はどうしたの!?」 わたしの言葉に、久東は困惑の表情を浮かべる。 「……申し訳ありません。 私の方では何も存じておりませんので。 帰国された旦那様に直接お聞きになされた方が宜しいかと」 ……お父様が帰国? 「大急ぎで車を走らせて!」 「承知致しました。」 お父様が家に戻るなんて、ただ事じゃない。