そして、八乙女に抱えられたまま連れて来られたのは中庭。 薔薇のアーチを通り抜けていくと、大きなガゼボ(東屋)が見えてきて…… 色彩豊かな薔薇が、お出迎えをしてくれる。 辺り一面、どこを見渡しても数え切れないほどの薔薇の数で溢れているのだ。 ゆらゆらとほのかな風に薔薇が揺られるたび。 この空間は、優しい紅茶の香りに包まれた。 そんな甘い香りにつられるように、純白に染まる蝶も可憐に舞っている。 薔薇畑の中で。