ドクン、ドクン──。 嘘……。信じられない。 わたしと同じ早さで、八乙女の心臓も動いているなんて。 いつも余裕な顔ばかりしか見せない八乙女が、わたしにドキドキしているの? 「ハァ……ったく。 穏花には叶わない。 俺の理性を壊してくる天才だよね」 いやいや、八乙女。 なに意味の分からないことを言ってるの? 壊した覚えなんてないし、天才の意味も理解不能よ? それにわたしから言わせてもらえば、八乙女はデリカシーのない天才ね。