「執事ならスマートに両方ともこなしなさいよ!」
それが立派な執事の務めでしょう!
プライベートを仕事に持ち込まないでちょうだい。
こっちはね。
ただでさえ大っ嫌いなクモをアップで見て、心臓を悪くしたというのに。
八乙女のせいで、また寿命が半分縮まったじゃない。
……どうしてくれるのよ全く。
「それよりもお嬢様。 ご自身の格好の方を気になさってくだ──」
「わたしのことはいいから! 早く退治してちょうだい!」
まだ何か言いたげに見ていたけれど、諦めたのかお風呂に視線が向く。
シャワーを軽く当てた後、沈んだクモを黙々とオケですくいあげる。
その八乙女の背中は何とも頼もしく感じた。
一言多くなければ、カッコイイんだけどな。