虫一匹出たことのないのにどうして?



……んん?待てよ?



わたしはあることを思い出した。



お風呂担当の人が休暇で、しばらく不在になるんだっけ。



どうりで虫が出るわけだ。



いやいや、納得してる場合じゃない!!



どうしよう……?



浴槽の真上からぶら下がっているから、流そうとしてもお湯に入ってしまうのは確実。



そこで困ったわたしは、携帯を手に取る。




「もしもし八乙女?! わたしのバスルームまで来てちょうだい! 大至急でよ! いいわねっ」




──ブチッ



返事も聞かずに電話を切る。