「バカなの? 穏花は」




抱きしめられていた体が離される。




「……うるさい」


「穏花が居ないなんて心配するに決まってんだろ……。 死ぬ気であちこち探し回ったんだからな?」




知らないわよ……
そんなの。



元はと言えば、不安にさせるようなことをする八乙女が悪いんだから。




「確かに黙ったまま元カノと密室で会ったのは悪いと思ってる。 けど、穏花も同じ共犯だから。」


「んな……、」




オデコとオデコがくっついた。




「……お願いだから、俺を不安にさせないで」




気つけば腰にも手が回され、愛を確かめるような深いキスを二人何度も交わす。



月夜の下で──。