「バカッ!? 車に引かれたいのか!!」
八乙女の叫び声と同時に、
後ろから強く引き寄せられ──
キツく抱きしめられるわたしの体。
「……っっ、」
あっという間に大好きな香りに包まれる。
八乙女に抱きしめてもらえていなかったら、わたしはここに立っていられなかったかもって。
今になって溢れだす恐怖に肩が震え……
八乙女の服を掴む手に力が入った。
あぁ、なんでかな。
不意にも抱きしめられて
“このまま離れたくない”
“ずっと離さないで”
そう願うわたしがいるんだ。
……ダメだなぁ。
気持ちが簡単に揺れ動いちゃってる。
結局は八乙女から、一瞬の隙も逃げられない。