「いやぁ。 彼にはほんと参ったよ。 
 羨ましいくらい入る隙が無いんだもん」




どうして何も言ってないのに。



神代さんはこんなにも分かる人なんだろう。



ただ単にわたしがすぐ顔に出て、分かりやすいだけなのかもしれないけど……。




「穏花さんを彼に譲るのは悔しいけど。 今日一日だけでも恋人気分を味わせてもらえた。 それだけで俺はもう十分幸せだったよ。 ありがとう。」


「神代さん……」




目尻をゆるませながら笑ってくれる優しい神代さんに、心が益々痛くなって。



申し訳ない気持ちでいっぱいになる……。