「や、八乙女? 今ってその……大丈夫かな?」 電話越しに聞こえてくる どこか焦っているような緊張した声。 「大丈夫ですが。 何かありましたか?」 「じ、実は……お昼のお弁当を玄関に忘れてきちゃったみたいで……。」 ん……昼の弁当? スマホを片耳に当てたまま、玄関に移動してみると── 「あぁ、はい。 見事に置いてありますね」 たしかにピンクに包まれた弁当が、ポツンとそこに置かれている。 普通、忘れるかよ。 なんて心の中では、ツッコミ状態。