「こうでも言っとけば、お嬢様は動揺されますからね」


「……ぜんぜんっ、動揺なんかしないから! 
 甘く見ないでよ!!」


「へぇー? 早まる鼓動の音。 
 こちらまで聞こえてましたけど」




耳元でそう囁かれる。



うぅっ……、小悪魔八乙女メッ!!




「うるさぁーい!! これ以上喋るな~……。八乙女のアホ……っ、」




顔中が赤くなっていることが、バレたくない強がりなわたしは、必死に隠すように八乙女の胸板を叩いた。



意地悪したつもりが、わたしが遊ばれてる。



こんなはずじゃ……。