「え? 何か俺したっけ?」
まるで忘れているかのように知らんぷり。
悔しい~~~っ!!
と、とぼけないでよ!
あのキスに、どれだけわたしが傷ついたことか……。
そりゃあ。八乙女を好きになったわたしが不利なのは、分かってる。
でも。あんな心のこもっていないキスで踊らされるほど、わたしは子供じゃないんだからね!
「したでしょ! わたしの部屋でキス……」
「内緒」
綺麗な人差し指で、あっという間に口を塞がれてしまった。
「んぐ……っ、」
「他の召使いにバレたら面倒くさいからね」
さっきの八重歯は隠れて、すっかり無表情な八乙女。



