「あ、ここ。 入ってみない?」 「カフェ?」 アンティーク感が漂う建物の前で立ち止まる八乙女。 それにつられて、わたしも足を止めた。 へぇ、こんな片隅の街にオシャレなカフェがあったんだ! 通りかかったら、ついふらっと寄りたくなっちゃうような雰囲気だ。 ちょうど歩き疲れていたし、休んでいきたいかも。 そう思って 木のドアに手を伸ばそうとしたら── まだ触れてもいないのに、カランコロンとドアベルの音が鳴り響く。