手紙 ーだいすきなキミへー

「千波に『意気地なし』とか言われて決心したってのも、なんか癪に障るけど…」

昴の真面目な顔つきになんだか耐えられなくなって顔を背ける。

すると、昴は「こっちを見ろ」と私の腕を掴む。

仕方なく昴の方を見る。

心臓があり得ないくらいにバクバクいっている。



「俺さ…文香が好きだよ」


「……えっ?」

信じられない言葉が聞こえたような気がする。あり得ない…空耳だ。

おそらく素っ頓狂な顔をしている私に昴は「なんだよ、その顔」と言って…。

「好きなんだよ、文香のこと」


…2度目。空耳じゃないの?

状況がうまく掴めない。昴が私のことを好き?