手紙 ーだいすきなキミへー

「…えっと、聞いてた…？」

「ご、ごめん。聞くつもりはなかったの…」

本当のことは言えなくて嘘をついた。そして、この空気感に堪えられずにいつもより口が動いた。

「い、いや～、モテますね昴さん！他の子にもコクられてたとかなんとか、他の子からも聞いちゃってますよ～。この色男が！ははは！」

「…いや…。ってなんかおかしいぞ、文香」

「なんのことでしょう？私はいつもと変わらず元気元気！じゃ、じゃあ私帰るところだから！！また明日ね、バイバイ！！」

「お、おい…！」

強引に別れを告げて寮へと足を急かす。

自分でもさっきの態度は不自然だということはわかるのだけど、昴に好きな人がいるという事実に相当動揺してしまっている。

胸がキュッと苦しくなる。


何かのハプニングを起こすまでもなく、私のこの恋は可能性を絶たれてしまった。