手紙 ーだいすきなキミへー

それから数週間が経ち、その間にも昴への想いは膨らむばかりだった。

だって昴は変わらないところも、成長しているところも全部が魅力的なものだから…。


だけどその魅力に気づくのは、もちろん私だけじゃない。




「昴くん、す…好きです！付き合ってください…！」

ある日の放課後、真っ直ぐ寮へ帰ろうと歩いていると人が出払ってしまった駐輪場で告白されている場面に遭遇してしまった。

い、いけない…。

ダメだとわかっているけど、昴がどう返事するのか気になって近くの少し大きな木に隠れる。

「…ごめん」

相手の女の子には申し訳ないが、ホッと胸をなでおろす。だけど…。



「俺、好きな人いるから」



その瞬間、心臓がバクバクするのを感じた。

おかしな話じゃないけど、好きな人がいるのだと知ると、やはり堪えるものがある。

「そっか…」と言って女の子が走り去っていくのを見て、私も早くこの場を去りたくなった。

行こうとした時…。

「…っあ、文香」

私の存在を昴に気が付いてしまったみたいだ。