「あ!懐かしい~!」


4月から始まる寮生活のために自分の部屋の荷物を整理しているときに、引き出しからたくさんの手紙が出てきた。

これは私が幼稚園の頃にもらったものだった。

各々で手作りのポストを作って設置してその中に手紙を入れてもらうという、一種の郵便屋さんごっこのようなことをしていたのだ。

荷物の整理を一時中断して、私はそんな手紙たちを読み返してみることにした。

読んでいると、私の部屋のドアからお母さんが顔を覗かせた。

「文香、何やってんの。あなたそのペースで間に合うの?」

「大丈夫、大丈夫。それよりさ、お母さんこれ見て!」

「手紙?」

お母さんは持っていた洗濯籠を置いてこちらの方にやって来た。


「ふふ、幼稚園の頃の?可愛らしいわね~」

覚えたての幼稚園児たちの字や、昔流行ったキャラクターの絵は見ているだけで自然と微笑ましくなるものだ。

手紙の内容は自由時間の遊びのお誘いなどの他愛もないものばかり。

だけど幼稚園の頃はポストに手紙が届いてないか、わくわくしながら待っていた。

1枚、1枚手に取って読んでいると、ある1通の手紙に手が止まる。

「あ…」