「君なら今の状況を理解できてないわけない」
確かにそのとおりだ
今の音楽界では私の事を探している
奴らは山のようにいる。
自分の物にしようとするやつもいれば
力だけを欲する奴もいる。
だけど…
「私は一族のためだけにやる…
『あの人』も私は見つけないといけない」
私達一族にとって、唯一無二の相手
ミューズが全てを捧げられるほどの相手で
あった人物の魂…
今はどこの誰ともしれない奴が
持っているが、他の奴らが狙っていない
わけがない…
「事情なら知ってはいるがそれを早くする
ためにも出てはくれないか」
「しつこいぞ老いぼれ」
「てめっ」
さすがの私も限界だ
これだけしつこくされるのは好きじゃない
揉めているさなか、部屋の外が騒がしくなった
「離してよ!私達は羽奏を
迎えに来たんだから!」
朋美の声?まさかそれほど時間がたってた?
だとしたら不味いっ
これ以上、あの子達が悪目立ちしたら…
「…理事長」
「…なにかな」
「コンクールに出るのでしたら
私は音楽科に転科した方がよろしいですよね」
「ま、まぁそうだな」

