電車に揺られながら、ヒメはゆっくり呟く。 「……なに」 俺はぶっきらぼうにそう言ってヒメを見た。 ヒメは少しだけ俯いて、膝の上で両手を遊ばせている。 「てんちゃんと…… ケンカしたりしないよね……?」 弱々しい視線を俺に向けるヒメ。 ……明らかに心配そうだ。 「…バカ。んな事しねーよ」 「っわ!」 驚くヒメを無視し、俺はヒメの頭を乱暴に撫でた。 「ただ……話をつけるだけだ」 そう呟いて、視線をヒメから車窓へ移した。 ……もうすぐ、ヒメとアイツの町へ着く。