「決してお前の心配をしたわけじゃないからな。相手が嫌がるようなことをしたりな・・・理不尽な奴は嫌いなんだよ」
ぼそりと呟かれた言葉に顔を上げる。
「王族が嫌いって言ってたのと関係ある?」
「まあ、無くはない。あいつらは理不尽の塊みたいなものだからな」
「ふう、ん」
呆けたように見つめる私の視線から逃げるように、ヘリオトロープは立ち上がった。
「ここで少し待っておけ。動くなよ、喋るなよ」
「わかってる」
小さくなっていく彼の姿を見送りながらため息をつく。
本当に、何て言うか・・・面倒臭い少年だなあ、という感じ。
面倒臭い、もどこか違うけれど、なんと言う言葉で表せばしっくりくるのかわからない。
いくつものしがらみを抱えているようで、そこら中に触れてはいけない部分がある。
相手には無責任に優しくしたり心配したりするのに、自分ではそれに気がついていない。
それに、隠していることが、沢山ある。
今日だって私を連れ回しているのは、誰かの“お願い”のためだ。
わかっていることといえば、口が悪いことと、仕えている主がいることと、甘い物が好きっぽいことと、理不尽が嫌いなこと、あとは王族が凄く嫌いなこと、くらい。
全然掴めない。
でもまあ、と私はフードの中でくすりと笑う。
「さっき王族のこと、『お前』らじゃなくて『あいつ』らって言ってたよね」
意識してのことではないだろう。だから、尚更だ。


