「あ、莉子!! おはよう!」
クラスマッチ当日の朝。
私が寝ぼけ眼の目をこすりながらリビングに行くと、お母さんが出勤の準備をバタバタとしていた。
「おはよ」
「莉子、悪いんだけど朝ごはんひとりで食べてくれる?パンと目玉焼きは作ったから、あとはコーヒー淹れてね!」
お母さんは、スマホやら財布やらを鞄の中にテキパキと入れる。
私はシュパシュパと瞬きさせて頷き、電気ポットに水を入れてスイッチを押した。
そして、お湯が沸くまでリビングの椅子に座って待つ。
のっそりと行動する私とは対照的なお母さんは、家中を走り回ってようやくリビングを出ていった。
かと思うと、小走りで戻ってきて、リビングのドアから顔だけを出した。
「今日、クラスマッチなんでしょ?」
「え? うん」
私が眉を上げると、お母さんは私に向かいグッと人差し指を指してきた。
「莉子なら出来るよ!」
「.........」
「あんたは小さい頃からなんでも器用にこなしてたからね。頑張んな。じゃあね、ファイト!!」
元気に弾んだ声で言ったお母さんは、最後にグッと拳を握って笑顔で家を出ていった。
一気に家がシンと静まり返る。
最近、特に忙しそうだな、お母さん。
夜勤でもないのに、帰りが遅かったりするし。
大丈夫かな。
お母さんは疲れを顔に出さないからわからない。
だけどきっと、すごく疲れてると思うんだよね。
心配だけど、私に出来ること、ないよね......。


