「コウちゃん、何か用だった?」 階段に立ったまま、コウちゃんに言う。 「別に? 吹部、今日は休みだろ?」 「え? うん」 「暇してるだろうと思って、遊び来た」 何でだろう。 何で、コウちゃんはこんなに私をドキドキさせるの? わざとやってる? こんな不意討ちな訪問、幸せすぎるに決まってる。 私はお母さんのように、嬉しさで口元が緩まないようにキュッと口を閉めた。