「え、うん」
ドキンドキン、と、鼓動が暴れだす。
「ガキの頃からすぐ腹壊すって知ってんのに。学習能力のないやつ」
コウちゃんは嫌みたっぷりに言って、少しだけ笑った。
その小さな笑みでさえ、私の細胞は喜びに溢れる。
コウちゃんだけが知っている、私の弱点。
大したことじゃないけど、こんな時は、何だか特別感を感じてしまい、幸せになるんだ。
本当に単純だって、自分で思う。
「コウちゃん、私達、サッカー本気で無理かも」
私は肩をすくめて言う。
「無理かもって、まだ全然やってもないじゃん」
「そうだけど......」
今の15分くらいの練習だけでも、無理そうなのはわかるよ。
足にボールが全く馴染まないんだもん。
真っ直ぐボールが飛ばない時点で、素質がないと思う。
トランペットと同じで......。
私は、何をやってもうまく出来ないんだよ......。