嘘だ。
お腹いっぱいなんて、絶対嘘。
コウちゃん、いつもお弁当だけじゃ足りないって、売店でパンを買うのに。
「好きだろ、おまえ」
「え?」
「カレーコロッケ」
コウちゃんが、クールな表情で、私のお弁当箱におさまるコロッケを顎で差す。
「母さんが昨日のカレーの残りで作ったんだ」
え......。
コウちゃん、もしかして......。
昨日、私が食べたそうにしていたから?
それでくれたの?
「なんだよ、その目。残り物だとか文句言うなよ」
「い、言わないよ、そんなこと」
私が口を尖らせて言うと、コウちゃんの目線が私から机の上のプリントに向いた。
「まだ決めてないのかよ」
「誰かさんと違って運動音痴なもんでねー!」
愛美がコウちゃんに向かって、イーっと歯をむく。
コウちゃんはフンっと鼻で笑い、愛美が持っていたペンを奪い取った。
そして、サッカーの文字に丸をする。