「白石。すまないが、時間がない」
先生が腕時計を見て、眉を垂らした。
立花くんも、ハッとして背筋を伸ばす。
「とりあえず、行ってこい。おまえなら、必ず出来るから」
トン。と、コウちゃんが軽く私の背中を押した。
2、3歩足が進み、コウちゃんを振り返る。
コウちゃんは細かく頷き、口角を上げた。
私も大きく頷いて口角にこたえる。
「白石、行こう」
立花くんに言われ、私はコウちゃんにお母さんをお願いして立花くん達とリハーサル室に走った。
お母さん、見てて。
必ず普門館への切符を手に入れてみせるから。
それまで、ゆっくり眠っていて。


