「嘘。勉強してんの?」


突然後ろから声がして、私の体は大きく跳ねた。


勢いよく振り返る。


「こ、コウちゃん!!」


驚きすぎてスピードを増す心臓。


パチパチと瞬きを繰り返すと、コウちゃんがゆっくり階段をおりてきた。


コウちゃんは私の隣に来ると、静かに腰掛けた。


幅の狭い階段は、ふたり座ると窮屈になる。


「こんな時まで勉強とか。明日雨降らすなよ」


コウちゃんが眉を寄せる。


「コウちゃん、やっぱり参加しなかったんだね」


「するかよ、怪我もまだ治ってねぇのに」


「そうだよね」


私は小さく笑う。


お風呂上がりのコウちゃんは、とてもいい匂いがした。

 
コウちゃんも短パンにティシャツ姿。


短い髪は少しだけ濡れていて、男の子なのに妙な色気が出ていた。