「莉子。おまえ、俺の返事を聞きたいの? 聞きたくないの?」


「へっ?」


コウちゃんの言葉に我に返ると、今度はコウちゃんが大きなため息をついた。


「分かりやすすぎ」


えっ......。


私、そんなに顔に出てた?


内心を読まれて、焦りながら前髪を触る。


「俺がひとり勝手に進路決めたとか思って怒ってんだろ?」


「......え?」


「今まで進路を話し合う空気になったことなかったじゃん、俺ら」


私は、ポカンとしてただただ頷いた。


そう、じゃないんだけども......。


「俺はただ、まだサッカーがやりたくて大学に行こうって決めたんだ」


「.........」


「怪我しちまって今は出来ないけど、徳永が予選突破するって約束してくれたからな」


そう言って、コウちゃんは椅子から立ち上がった。


「だから俺は全国大会のためにリハビリ必死でやって、あわよくば、試合でスカウト来ないかなって思ってるとこ」


最後は冗談めかして言い、松葉づえで体を支えながら私を指差した。


目の前で指を刺され、私は眉間にシワを寄せる。