暫くジェミロとベルがじゃれていると、おずおずとレイが2人に話しかけてきた。

「……姫がどうしてもここを離れたくない、とおっしゃるのなら、私が姫の分まで、働きます!
ですから姫、どうかどうか、飲み屋で働くなんておやめください……!」

「お前が働くのか?
うちで?」

ベルの頭を撫でていたジェミロの手が止まった。
驚きすぎて丸くなった瞳が、レイの姿を写している。

「はい。姫の分まで」

う~ん、とジェミロが考えあぐねていると、ベルが彼女の隣から異論を唱えた。

「それはダメ。
わたしが今まで通りおねぇと働きたいのに……!
レイ、わたしの居場所、取らないで欲しいな……」