ベル姫様と溺愛ナイト様

ジェミロは男に驕ってもらったビールに口をつけながら、カウンターの隅で一人強い酒を煽る青年をちらりと盗み見る。
無表情でグラスを傾けて、何やら考えてこんでいる様子だ。

そして時折ベルの姿を追う目線は、ひどく切なく、同時に優しい。

「なぁに? ジェミロも実は彼の事、気になってるの?
これから撃沈しにいくつもり?」

ジェミロの視線の先に気がついた女が、目を細めて笑う。

「バカ言え、んなわけあるか!
ただ……」

「ただ……?」

「……。
いや、あいつ、今夜だけで何人の女を振るんだろうな、と思ってな」

「うふふ、確かに。
撃沈仲間が着々と増えていきそうね」

ジェミロは青年から視線を外し、ぐいっとビールを何口か煽り、それから別のテーブルから注文が入った料理を作り始めた。