もしかすると、願えば力を使って部屋のインテリアを丸々変えることができるかも知れない。
しかし、今のベルにそんな力は残っていなかった。

「メイドさんのお部屋とかあったよね? そこで寝てくるね?」

2人におやすみ、と言いかけたところで、レイに引き止められた。

「え、なんで? 勿論主寝室だろう、ベル。ベルはこの国の女王になるんだぞ?」

当たり前だと言いたげに、レイはベルの手を取って主寝室へと向かった。

「じゃ、おやすみな」

きょとんとしながら手を引かれる2人の後ろから、メロゥの声が聞こえた。
途中、広間のソファに置いてあったカバンを取り、大きな部屋の扉の前。

「さ、今日からここがベルと俺の部屋だ」

「でも、ここは……」

主寝室は、ベルの両親。
つまりは先代の女王とナイトの部屋だった。

まだ思い出せていない両親の部屋で寝るなんて、良いのだろうか? 
ベルは戸惑いレイを見上げた。