恋はたい焼き戦争



「さーーて、次は!
皆さんお楽しみの綱引きでーす!」





少しテンションの上がった紹介のあと男子たちが入場する。


近くで見ようと女の子たちも集まっていた。





「ぜってぇーお前らに勝ってやるからな!」

「そんなのこっちの台詞だ!!」





クラスの中心人物たちがお互いに宣戦布告をしてボルテージは一気に上昇。

次々と脱ぎ出す男たちに女子はきゃーきゃー言っている。


『なあ、ここの体育祭変わってねぇか?』

『まあ…変わってるよね』


いつしか昴とそんなような会話をした。


この日のために前から男子たちは良い体を作り始めるのだ。


もはや披露するためのイベントと言っても過言ではないだろう。


あの、まーくんでさえ筋トレをしているんだから…


今年も細マッチョが多いなぁー





「ねえねえ!次うちのクラスだよ〜!」





そう言うあかりは昴を見たいんだろうな。





「応援しにいこっか!」





向かうと熱気がすごくて人の群れと化していた。

なかなか前に行けない…


クラス以外の女の子もたくさんいる。

イケメンの転入生を見に来たんだろう。


さてさて…





「あ、いたよ!鈴!昴君だー!」





ふにゃーっと笑うあかり。

私もそっちを見るとちょうど昴が、脱いだTシャツを投げるところだった。


ああ、格好良いな…





「…!」





そう思って見ているとばちっと昴と目があった。


王子様のようにウインクをしてくる。





「きゃーー!!!」





その瞬間、悲鳴が起こった。


私と目があった!とか私見てくれてた!とか凄く騒いでる。


実際もこんな王子様なら良かったんだけどねぇ?


戦いが終わり、なんと勝ったのはうちのクラス。


トーナメント方式で勝ち上がり最後は他学年で争う。





「次の試合は!1年1位と2年1位の2組です!」





そう言って出てくるのはうちのクラスと、かえで君のクラスだった。


かえで君も可愛いと人気が高い。


私の弟同然なんですよー!と少し満足げになれる瞬間。



試合が始まると、お互いの縄についた赤い印が真ん中を行ったり来たりすることが何度か続いて、ついに勝敗がついた。





「勝った!勝ったよー!!!」





思いっきり抱きつくあかり。


この綱引きにおいて私のクラスが優勝したのだ。


3年生はマンツーマンでの綱引きがあるので団体戦は行わない。

つまり、2年生で団体での綱引きは最後なのだ。


その最後で優勝できたのは本当に凄い!


帰ってきた英雄たちを皆で囲む。





「おめでとうーー!!」





私は1人1人に声をかけた。


ガッツポーズをしたりハイタッチする。


まーくんは信じられない、というような顔をしていたので少し笑ってしまった。


昴のもとには…まだ行けないから後でにしよう。