恋はたい焼き戦争



「はーーい、どうぞー」





4階にある空き教室のドアをノックすると中から男の人の返事が来る。



開けて入ると短い茶髪の身長180cmでしっかりした体格の男の人が出迎えてくれた。





「おぉ、鈴か。どうした?」





彼が私の所属する演劇部の部長、3年生の向川慎之介(むこうがわ しんのすけ)。


この演劇部には私だけでなく、ここにいるまーくんもかえで君も所属している。


10人弱ほどの小さな劇団。


それでも実力はしっかりとあって、公演を楽しみにしてくれている人もいる。



演劇部の活動は主に、


大会出場への練習。

学校行事への演劇参加。


筋トレと発声練習、台本合わせと表現力を付けるためにアフレコなんかもやったりする。



私は部長に紺野君のことを紹介した。





「彼が今日転入してきた紺野昴君で…」





部長の目が少し険しくなる。





「あれ、お前…昴か!」





目をカッと開けて紺野君の肩を掴む。





「あれ、慎之介さん?!
久しぶりですね!」





んー…もしかして知り合いなの?


すると部長は不思議そうにして紺野君の肩を抱いて少し離れたところに行った。


こそこそと2人で何話してるんだろう?


しばらくすると2人はニコニコした顔で戻ってきた。





「部長、紺野君とお知り合いなんですか?」

「ああ、紺野家とは昔ながらの付き合いだったんだ。昴の兄貴とも仲良くてね、懐かしいよ」





ちょっと遠い目をしてから

ああ、そうそうと話を本題に戻すと部長から案内しておいでと許可をもらったので、私達は部室を出て学校を紺野君に案内し始めた。