『あれ…お嬢、その隣の人は…』

『あーーあのね!』


と紹介しようとしたら


『お嬢…おめでとうございます!俺、俺…今日はお祝いっすね!!』


良かったなぁ、と皆で泣きあっている。


あっちこっちでお赤飯にしますか!とか辰巳さんに報告を!とかいろんな声が飛び交っている。


『え、待って待って待って待って?
何か勘違いしてるよ!』

『お嬢の彼氏さんじゃないんすか?!』


違う違う!!

彼は…とふと、かえで君の方を見ると白目を向いて立っていた。


『わ、かえで君!大丈夫?!説明の前に皆で運んであげてー!』


急いで彼を居間に運んで布団に寝かせる。


私はその間に説明した。


『何だ、そうだったんすか!俺てっきり…
それにしても男に勝っちまうなんて流石はお嬢っすね!!』

『んーまぁ、皆のおかげ?
それよりね、かえで君が護身術を習いたいみたいなんだけど一緒に教えてもらえないかな?』


勿論です!と心強く答えてくれる。


『…んぅ…』


と、かえで君が目を覚ました。


『え、うわ…うわぁ!!』


また気絶しそうになる彼を必死に食い止めて私の家の事を話す。


真剣に聞いてくれて時々相づちを打つ。


『す、すみません…僕ビックリしちゃって…』


それでもまだ、彼らを怯えた目で見る。


まぁ、こればっかりは慣れないと怖いよね。
皆いかついし…


『よし、それじゃあ…明日から皆かえで君に教えてあげてね!
かえで君は私の学校まで来てくれる?』

『あ、はい!』


んーやっぱり…


『敬語…やめよう?』

『そんなに…嫌ですか?僕にとって鈴さんは憧れで…』


私、そんな凄いやつじゃないよ!


そういう目をすると、かえで君も頷いて


『わかりました…ううん、わかった!』


うん、そっちの方がしっくりくる!


『あと、鈴さんも嫌かな…』


我ながらクレームが多いな…


『それじゃあ、何て呼べばいい?鈴姉ちゃん、とか?』

『それ良いかも!』


何せ、お姉ちゃん役でしたしね?


『鈴姉ちゃん!と、それから皆さん!これからよろしくお願いします!』


そう一礼して満面の笑みになる。


彼のこの元気さと礼儀正しさに組の皆も笑顔になる。


そうしてほぼ毎日、かえで君は私の家で護身術を習いに来た。



彼と出会って、もう3年くらいになるのかな…


今では私よりも強くなってより頼もしくなっている。

弟のようなポジションは変わらないんだけどね…