『ふぅー、一段落ついたね。良かった良かった!』


隣にいた彼の顔を見ると


『凄い…凄いです!ありがとうございました!!』


さっきのゲって顔からキラキラした顔に変わり、完全に尊敬の目で見られてる。


『あ、あの…お名前は…』


うわ、何か…ヒーローみたい!

ただ家柄、護身術をやってるだけなんだけどね。


『名乗るほどの者でもありません…ただの通りすがりの者ですよ…』


ふっと格好をつけても


『いや、あの…お名前を』


彼は全然引かない。

でも私もあんまり言いたくはないんだよなぁ…


『沢田鈴っていうけど本当に何もないから!』


逆にそう言った方が怪しいかな…


『鈴さん!良かったら戦い方を教えてください!』

『いや本当に教えるも何もないからーー! 』


逃げるようにその場を走って立ち去ってしまった。