良いだろう、助けたかったし。


『ソレジャア、カエロウカ。ワガオトウトヨ』


あれ、何だ君のそのゲッて顔は!

芝居なんて出来るわけないでしょーが!


『う、うん…!』


でも言っちゃったもんは仕方がないからとりあえず彼らに背を向けてその場を立ち去ろうとする。


『は?おい、ちょっと待てよ!』


リーダーらしき奴に引き止められて


『お前、こいつの姉貴なんだろ?』


もしかして、信じてくれちゃった感じ?!


『なぁ聞いてくれよー
こいつ、払わないんすよ?
世の中ギブアンドテイクだっつーのに』


ニヤニヤして言うそいつに本当に心底腹が立った。

何言ってんだ。

ここで言い返すべきか悩んだ結果。


『払う必要なんてないと思うけど。
あんたらとつるむメリットなんてこの子にはないと思うし』


口が勝手に開いて喋っていた。


『あんた達がこの子に金を集ってただけでしょ』


一気に空気が凍って目の前にいるリーダーのニヤニヤ顔がみるみるうちに怒りに変わる。


『は?女だからって調子乗ってると痛い目合わすぞ!!!』


拳が飛んできた。

結局は力で解決しようとするのね。

そういうところが男の馬鹿なところだよ。


『誤算だったね』


私はその拳を右手で受け止め思いっきり左に捻った。


『女だからってなめてると痛い目見るよ?』


拳を握りつぶす勢いでギリギリと回していく。


『いって、いてててて!!』

『今後一切この子に近付かないこと、わかった?』


涙目で必死にうんうんと頷くので手を離すと


『ったく、何なんだよ!』


彼らはそんな台詞を残して足早に去っていく。