「…本当にごめんなさい…」
勇輝君がいなくなってからも、誰一人動こうとしない。
空気が鉛のように重い。
そりゃそうだ。
あんなことを言われて気にしない人なんていない。
「…何で鈴が謝んだよ」
そんな中、昴はさっきと同じ言葉を放つ。
…私があの人の婚約者だから。
そう言ったらみんなはどんな反応をするだろうか。
やっぱり、私は結婚なんて…
私のことを求めてくれる勇輝君がみんなに対してぶつけた言葉を聞いて、少し気が迷う。
ただ迷ったところで結果は変わらない。
私に彼と結婚しない選択肢なんて…ないように思うんだ。

