「鈴、昨日の勇輝って男は一体誰なんだ」
次の日、部活に顔を出すと全員が私を捉えて離さない。
「た、ただの知り合い…!」
こう言うしかないの。ごめん…
「あんなん、ただの知り合いなわけないだろ。
ちゃんと答えろよ」
昴がそう怒るのも仕方ない。
…仕方ないけど…
「…ごめん」
そんな私の心を察したのか、詰め寄ってくる昴を止めたのは部長だった。
「鈴にも事情があるんだろう。
わかった、俺らも彼のことは気にしない」
「…!ありがとう、ございます…」
私のことを信じてくれる部長やみんなを裏切ってしまうことになるのは心苦しい。
私だって、本当は結婚なんて…
でも、それは私が決めたことだから。
途中で投げ出すなんて、やめるだなんて絶対に言っちゃいけない。
そんな無責任なこと、できない…

