恋はたい焼き戦争



「あ、あー…俺やっぱり演者には向かないな…こういうシーンもいいかもと思ったんだがダメだな…」





対する部長の耳は真っ赤で。

照れくさそうにはにかみながら、でも私の顔は見てくれない。


きっと、それだけ恥ずかしいんだろうな…





「ど、どうしたんですか?」

「鈴に元気がないって聞いてな?」

「もしかして、昴…?」

「ああ」





まさか部長に言っちゃうなんて。


…でも、それだけ心配してくれたってことだよね…


ごめんね、昴。ありがとう…





「…何かあったのか?」

「もう…大丈夫です…!」





それでも、私には心配してくれる部長も昴もいる。

そのことがとても心強かった。





「ふふっ…」

「なんだ?」





モヤモヤしたものが吹っ飛ぶと、急にさっきの部長の言葉が頭の中に流れた。





「さっきの、思い出しちゃって」

「や、やめろよ…」





どんどん真っ赤に染まっていく部長を無視してなおも続ける。





「部長も演者できますよ!
だってすごいドキドキしちゃいましたもん」

「…」

「?」

「…それなら、もっとドキドキするようなこと、する?」

「…な、なんてな!!」





はははは!と似合わない笑いをしながら、部長の耳はまだ赤くなっていた。