「向川部長!」
「おー!り、ん…」
ぱっと合った視線は下の方へ。
…私の着ているメイド服へと移っていった。
「いらっしゃいませ!」
演劇部なめんなよ…
恥ずかしいけど!
衣装って思ったら大丈夫だし、部長の前でだって平然としていられるんだから!
「こちらの席になります。
ご注文お決まりになられましたら…」
「…嫌だな」
「え?」
「他の人もこんな鈴を見れるって…何か嫌だな」
急に漏れた部長の一言に思わずドキリとしてしまう。
「向川…部長、?」
「…俺だけのメイドさんになってよ」
私の手を取って、自分の手に重ねながら言うそれはもういつもの部長の言葉じゃなくて。
ドキドキと心臓がうるさい。
キャ、キャラが崩壊してます部長…!
驚くのは私だけじゃなくて、周りのお客さんだったり同じクラスメイトだったりも急な部長の振る舞いにざわざわしていた。
「え、あれガチ?」
「いや、演劇部の公開練習か何かでしょ」
そんな声も囁かれていた。

