恋はたい焼き戦争



呆然と床に座り込んでしまった私の元に来たのは、他でもない昴だった。





「…鈴?」

「昴…!」

「何してんだ?ってあれ…」





どうしても、昴にだけは気付かれたくない。知られたくない。



だって絶対に傷付くもん。

自分のせいで、って知ったら…優しい彼は自分を責めるかもしれない。


そんなの、嫌だから。





「や、破いちゃって…」

「…何があった」

「な、何もない!」





気付いてる。私が隠し事をしてるなんてことは。

バレてる。


それでもね、言いたくない。





「何だよ…自分は首突っ込んでくるくせに、俺が関わるのは嫌なのかよ…」

「昴?」

「や、何でもねえ…
それより衣装、どうすんだよ」

「余ってない…かな」

「誰かが休まねえ限りないだろうな」





心なしか、昴の態度が冷たく感じる。


わかってる。


隠し事が嫌いだってことは重々。


最近も匠さんのことがあって、余計そのことに敏感になっていることも。


わかってて…ごめん。





「…そうだよね」





貴方の不機嫌に気付かないふりをする。