恋はたい焼き戦争



「…!」

「なに…してるの…?」





あかりの手にはハサミと明日着る私の衣装があった。


私の衣装を、切り刻んでいた。





「こ、こんな…
どうして?!」

「鈴が、鈴が悪いんだよ!昴君を独り占めしようとして…」





そう言いながら、私の衣装を切る手を止める。





「私、見たの。夏休みに学校で昴君と2人でいるところ」

「あれは昴と2人だったわけじゃなくて…!」

「…昴、?
そうなんだ。そんなに仲良くなってたわけ」

「ちがっ…!」





私の反論も、あかりの怒りに拍車をかけるだけ。





「違くないでしょ!私には関わらない方がいいみたいなこと言って!
本当は自分が独り占めしたかっただけなんでしょ!」

「そんなこと思ってない…!」

「体育祭の時だって…」

「体育祭?」

「そうだよ!
キス、してたじゃない!酷いよ鈴…」

「待ってあかり!」





何を言ってもあかりには通じない。

聞いてくれない。


私は走っていくあかりを追いかけることができなかった。

追いかけてもなんて言っていいのかわからなかったから。


…なんで、どうしてこうなっちゃったのかな…?