ごほんっ。

葵ちゃんが出した大きな声に、司書さんが咳払い。

「……ほら、図書室なんだから静かにしないと」

「ごめん」

しょんぼりとなってしまった葵ちゃん。
でも、静かにしないとね。

「あーあ、大塚、怒られたー」

「明石くんもだよ」

「……ごめん」

じろりと睨んだら、明石くんの背中が少し、小さくなった。
ほんと、どっちもどっちだよ。

「……宮野って怒ると怖いんだね」

「……怖いよー。
絶対怒らせちゃ、ダメ」

「なにふたりで、こそこそ話してるんですか?」

「「別にー」」